

敷地は、福井市郊外の低層住宅地である。北東を交差点に面し、南側には隣家、東は道路を挟んで公園が広がる。家族構成は夫婦と子供二人が住む家である。南側西寄りに隣家が迫っており、日当たりの良い敷地東側に庭をもつ、南北に長くすべての室が東側に開く平屋のシンプルな平面構成とした。庭をいつでも近くに感じられ、庭越しには公園が望め、その向こうには足羽山・八幡山を見渡せる。いつでも家族が近くにいる雰囲気を感じられるよう、各室は開け放てる引戸で連続している。特注でデザインした薪ストーブを居間の中央に配し、火を囲んで暮らせる家である。外部に面する部分は、木の質感を大切にした。外壁は杉板下見板貼り、東側および北側は木製建具としている。「はなれ」は、交差点からの視線を遮りながら緩やかに庭を囲っている。これらの外部に対する木の質感は、都市に豊かさを与える。東は1.35m、南北は1.2mの軒を出している。周囲に大きく出た軒は、外壁材としての木材の耐久性を格段に向上させ、また、雨や雪の日数の多いこの地域では特に生活空間として有効である。建築の周囲に中間的な生活領域をつくりだし、庭と家をゆるやかにつないでいる。周囲に軒を出した単純な屋根を大きく架け、時間の経過とともにその良さを増す素材の選択を慎重に行い、それらをできるかぎりシンプルなディテールで構成することで、木のあたたかさを自然に感じられる、落ち着いたまいの家を目指した。
所在地:福井県
竣工:2009年11月
用途:一戸建ての住宅
規模:木造・地上1階・延床面積96㎡


